贅沢
子どものいないママは私のことを本当にかわいがってくれた。
でもその愛情表現は物を買い与えることでママ自身が満足していたように思う。
欲しいおもちゃはほとんど買ってもらえた。
テストでいい点を取ったとか、通知簿の成績が良かった時とか、学級委員に選ばれた時も買ってもらえた。
逆に、誕生日プレゼントだとかクリスマスプレゼントとかを買ってもらった記憶がない。
そして洋服もいっぱい買ってもらった。
でもそれは私の好みは反映されず、いつもママの好みのものばかりだった。
私が好みの服を選んでも「こっちなら買ってあげる」と言われ、
私の意志は通らなかった。
私もそんなものだと思っていた。
お店で使う食器をデパートに買いに行くことがあった。
デパートに着くと最初におもちゃ売り場に行って、私にお人形を買ってくれる。
それから食器売り場へ。
人形を買ってもらってご機嫌な私はおとなしくママの買い物に付き合う。
そんなことをしてまで私を連れて行かなければいいのに…。
帰りにパーラーに寄って美味しいものを食べてタクシーで帰る。
贅沢な話だ。
パーラーと言えば、
普段の買い物のためにスーパーへ行った帰りも、
喫茶店に寄ってレモンスカッシュを飲んだり
サンドイッチを食べたりすることが多かった。
これまた贅沢な話だ。
今の私の生活からは考えられない…